配偶者居住権とは?要件と評価方法をわかりやすく解説

配偶者居住権とは、亡くなった方(被相続人)の配偶者が、被相続人が所有していた自宅に、終身または一定期間、無償で住み続けることができる権利です。
2020年4月1日に施行された比較的新しい制度で、遺産分割において配偶者の居住を守りつつ、他の財産も取得できるようにすることを目的としています。
なぜこの制度ができたのか
従来の制度では、配偶者が自宅を相続すると、不動産の評価額が高いために、預貯金など他の財産をほとんど取得できないケースがありました。
例えば、遺産が自宅(3,000万円)と預貯金(3,000万円)で、相続人が妻と子の2人の場合:
・妻が自宅を相続 → 預貯金は子がすべて取得 → 妻の生活資金がない
配偶者居住権を活用すると:
・妻が配偶者居住権(例:1,000万円)+預貯金2,000万円を取得
・子が自宅の所有権(負担付:2,000万円)+預貯金1,000万円を取得
→ 妻は住み続けられて、生活資金も確保できる
配偶者居住権の成立要件
配偶者居住権が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 被相続人の配偶者であること(法律婚に限る。内縁は対象外)
- 相続開始時に被相続人が所有する建物に居住していたこと
- 遺産分割協議、遺言、または家庭裁判所の審判により取得すること
配偶者居住権の相続税評価
配偶者居住権の評価額は、建物の固定資産税評価額、配偶者の年齢、建物の残存耐用年数などを基に計算します。
配偶者の年齢が高いほど居住権の評価額は低くなり、逆に所有権の評価額が高くなります。評価額の計算は複雑ですので、専門家への相談をおすすめします。
メリットとデメリット
メリット
- 配偶者が自宅に住み続けながら、生活資金も確保できる
- 配偶者居住権は配偶者の死亡により消滅するため、二次相続の課税対象にならない
デメリット
- 配偶者居住権は譲渡・売却できない
- 老人ホームに入所する場合など、自宅を売却して資金化することが難しくなる
- 所有者との関係が悪化すると、建物の管理や修繕で問題が生じる可能性がある
配偶者居住権の活用が適切かどうかは、家族構成や財産の内容、将来の生活設計によって異なります。なお、配偶者居住権を第三者に主張するためには「配偶者居住権の設定登記」が必要です。登記をしておかないと、所有者が変わった際に立ち退きを要求されるリスクがありますので、忘れずに行いましょう。
制度の利用を検討される際は、専門家にご相談ください。
※本記事は2026年3月時点の法律・制度に基づいて一般的な情報を提供するものです。
記事監修:公認会計士・税理士・行政書士 内海真樹
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